#192 【米国『TikTok』禁止法成立】その後の各国の状況と日本への影響
デジタルメディア情報 2024.09.30
みなさまこんにちは。
JOETSUデジタルコミュニケーションズの天野です。
今年の4月末、
米国で『TikTok』のアプリの配信などを禁止する法律が成立されたことはご存知でしょうか?
発表から5ヶ月程経ちましたが、この法律を巡って『TikTok』を運営している
中国企業“ByteDance(バイトダンス)”は米国に裁判を起こして対立している状態です。
今回は、『TikTok』がなぜ米国で禁止されることになったのかという経緯と、
その後の各国の動きや今後想定される日本への影響についてお話しいたします。
参照:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240425/k10014432441000.html
米国『TikTok』を禁止した経緯
<中国の世論操作への警戒>
2017年6月27日、中国で制定された「国家情報法」が背景の一つです。
国家情報法は、同国の企業や民間人に対し、
安全保障や治安維持のために中国政府の情報収集活動に協力することを義務付けており、
中国政府は企業などが持つデータをいつでも要求でき、
日本をはじめ外国の企業も対象となります。
TikTokユーザーの情報が、意図的に中国当局に収集される危険性があり、
中国当局から情報提供を依頼されれば、ByteDanceはそれに従わざるを得ない状態にあります。
TikTokを通じて膨大な情報を収集・管理し、世論操作を行う可能性が指摘されています。
参照:https://president.jp/articles/-/68120
<『TikTok』禁止法を巡る現状>
上記のような点が米国政府で問題視され、
2024年4月、『TikTok』を運営しているByteDanceに対して、
“米国内での事業を期限内に売却しなければ国内でのアプリの配信などを禁止する”
とした法律が成立しました。
これを受けて、ByteDanceはこの法律の差し止めを求める訴状を提出。
当該法律が、憲法で保障された“表現の自由”を侵害するものだと指摘しています。
参照:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240508/k10014442741000.html
参照:https://www.bbc.com/japanese/articles/cgxwnn9exl5o
各国の『TikTok』への対応状況
<海外>
諸外国では、TikTokに対して下記のような対応を行っています。
- インド
データプライバシーと国家安全保障上の懸念から
2020年にTikTokを含む多くの中国製アプリを恒久的に禁止。 - カナダ
2023年2月に政府発行デバイスでのTikTok使用を禁止。
・欧州連合(EU)
若者に対する中毒性や心理的な影響を懸念し、TikTokの一部機能を制限。
・オーストラリア
2023年4月に政府発行デバイスでのTikTok使用を禁止。
・バングラデシュ
一時的にTikTokが禁止されたが、
コンテンツモデレーションが改善された現在は再び利用が可能。
・アフガニスタン
2022年にTikTokが若者を「誤導する」として禁止。
<日本の対応>
諸外国ではTikTokの禁止や規制が加速するなか、
2023年2月に松野博一官房長官は、政府端末での機密情報の取り扱いに関して、
TikTokを含む外部のSNSサービスの利用を禁止する方針を明らかにしました。
この措置は、欧米と同様の立場であり、
特定の国や企業を排除するものではなく、サイバーセキュリティの確保を目指しています。
さらに、総務省はネット上の誹謗中傷対策を強化し、
TikTokを含むSNS全体に対する治安対策を進める方針を打ち出しています。
現状日本では、国民にTikTokの利用禁止といった規制はされていませんが、同盟国アメリカに従い、
TikTokの利用を全面的に利用禁止にするなどという措置も可能性としては考えられます。
参照:https://gaiax-socialmedialab.jp/tiktok-restriction-trends-20240312/
今後のTikTokの活用方法について
各国のTikTok禁止を巡る対応や日本国内でのTikTokへの規制が強化される可能性を考えると、
継続的な投稿でアカウントを資産にしていくといった従来までの運用方法は
推奨しづらい状況となりました。
上記の可能性を考慮したTikTokの活用方法は、
新商品や新サービスの認知拡大フェーズにおけるスポットでの活用です。
例えば、TikTok内で特定のハッシュタグをつけた動画投稿を促す
「ハッシュタグチャレンジ」や「ブランドエフェクト」があります。
「ハッシュタグチャレンジ」は、
ハッシュタグ(動画のテーマ)に合わせた動画を作成、投稿してもらう広告形式で、
各ユーザーが様々な動画を投稿するような動きが見られます。
「ブランドエフェクト」は、
撮影時に使用されるエフェクトという加工技術を広告として利用できるメニューです。
2D・3D・AR といった先端テクノロジーを用い、撮影の際に新作のアイシャドウやリップを
顔に重ねられたり、ゲームのキャラクターを同じ画面に立体的に表示させたりといった、
没入感のある体験設計が可能です。
上記のような施策では、
ユーザーの共感と参加を促すため認知の向上や興味関心の獲得などが期待でき、
多くのUGC(=ユーザー生成コンテンツ)が生まれるのも魅力です。
参照:https://tiktok-for-business.co.jp/archives/4083/
むすびに
今回は、米国の『TikTok』禁止法と
その後の各国の状況と日本への影響についてご紹介させて頂きました。
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天野(ニックネーム:あまのっち)